2023.10.19
危険負担ってどのよなもの?
危険負担について解説しています
Q:最近は異常気象も多いですが、不動産取引にも影響があったりしますよね?
A:はい、例えば売買契約を締結した後、引き渡しまでに天災地変で売買の目的物が滅失してしまうなどのケースも考えられます。
Q:天災地変で滅失というと?
A:落雷で建物が壊れてしまった、水害で建物が流されてしまった、などでしょうか。売主様・買主様のどちらの責任でもなく取引の対象物が滅失、無くなってしまうと言う事です。
Q:そういった場合、どのようになるのでしょうか。
A:2020年4月1日に民法が改正されましたが、それ以前のいわゆる「旧民法」では、契約自体は成立しているので買主様は売買代金を支払わなければならないとなっていました。
Q:えっ。無くなってしまっているのに支払わなければならないんですか!?
A:はい。債権者主義と言い、買主様が目的物の引き渡しに関する危険を負担する事になっていました。ですが、不動産の売買契約書では、天災地変等の売主買主どちらの責任でもない事由によって対象物が滅失や損傷してしまった場合について、特約で民法とは異なる取り決めを行っていました。
Q:どういった取り決めですか?
A:全部が滅失してしまったり、修復が不能な場合や修復に過分な費用や日数が掛かるといった場合は解除することができる、というような特約です。相手方へ通知し、売主様が買主様へ受領済みの金員を無利息で返還して解除、という特約が一般的でした。
Q:それほどでない場合はどうだったんですか?
A:引き渡し前の損傷については、売主様で修復の上買主様に引き渡すようにしていました。
Q:では、改正された民法ではどうなんでしょうか?
A:引渡し前で、なおかつ引き渡しが不能である場合、買主様の支払い債務は消滅しないものの、代金の支払いを拒絶できる、ということになりました。
Q:払わなくても良いんですね。
A:改正された事によって、実際の取引の場での運用と民法が近づいたという感じかと思います。
Q:なるほど。
A:あくまで、天災地変などの売主様に責任がない場合です。売主様には引き渡しまで「善管注意義務」善良なる管理者の注意義務があります。注意不足の場合は、当然売主様の責任が発生します。問題なく取引、引き渡しができるよう細心の注意を払うことが重要です。
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